2013年3月26日火曜日

99年東京大文系国語

1999年 東京大 文系 第五問

(問題)次の文章を読んで、後の設問に答えよ。

 嘆きつつひとり寝る夜のあくるまはいかに久しきものとかは知る
 『拾遺集』恋四、「入道摂政まかりたりけるに、門をおそく開けければ、立ちわづらひぬと言ひ入れて侍りければ、詠みて出だしける」とあり。今宵もやとわびながら、独りうち寝る夜な夜なの明けゆくほどは、いかばかり久しきものとか知り給へる、となり。ア門を開くる間をだに、しかのたまふ御心にひきあてておぼしやり給へと、イこのごろ夜がれがちなる下の恨みを、ことのついでにうち出でたるなり。『蜻蛉日記』に、この門をたたき給へることを、つひに開けずして帰しまゐらせて、明くるあした、こなたより読みてつかはせしやうに書けるは、ひがごとなり。ウ「ひとり寝る夜のあくる間は」といひ、「いかに久しき」と言へるは、門開くるあひだのおそきを、わび給へしにくらべたるなり。つひに開けずしてやみたらんには何にあたりてか、「あくる間は」とも、「久しき」とも詠み出づべき。
(『百首異見』による)


問一 「門開くる間をだに、しかのたまふ」(傍線部ア)を、「しか」の内容が明らかになるように現代語訳せよ。

問二 「このごろ……うち出でたるなり」(傍線部イ)とはどういうことか、簡潔に説明せよ。

問三 「『ひとり寝る夜のあくる間は』といひ、……くらべたるなり」(傍線部ウ)とあるが、この解釈にしたがって、「嘆きつつ……」の歌を現代語訳せよ。


(解説)
 『蜻蛉日記』「うつろひたる菊」の履修経験が解答の出来を大きく左右するものと思われる。なお、類題としては、『百人一首一夕話』を題材とした、2007年大阪大(法・経済・人間科学)がある。

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